「死ぬまでに行きたい絶景」
「美しすぎる日本の絶景」
などでよく取り上げられるのが「四国カルスト」だ。
無論、サイクリストにとっても一度は訪れたい場所としても有名である。
場所が場所だけに「ちょっと行ってくる」をやると、自分の脚がエンジンである自転車では最悪辿り着かないかもしれない。
普段ならノーリサーチで突撃するタイプの私ですら、さすがにある程度の下調べをしてしまった。
下調べ編
場所
ご覧の通り、愛媛県と高知県の県境に位置し、よりにもよって山のど真ん中にある。
地図情報だけでも補給をどうするか・宿泊場所はあるのか・道は舗装されてるのかetcが湧いて出てくる。
松山からのルート
走行距離:79.98km
獲得標高:2,217m
となる。
無理な数字じゃないが、しっかりとヒルクライムだ。
なお、未舗装路はなく全て舗装されている。思っていたよりもずっと良い道だった。
本当の後半数キロについては山中でだいぶ道が細く、車のすれ違いがしんどいような箇所もあったが、それでもちゃんと舗装されている。
路面状態に関しての心配はほとんどいらないだろう。
むしろ補給に関してはかなり難がある。
補給について
四国カルストはとにかく補給できるスポットがないことで有名だ。
実際、松山から行く場合の最後のコンビニを検索すると、次のような結果となる。
ファミリーマート久万大谷店が最後の補給所だ。
ここから四国カルストまで約45kmまで補給スポットはない。
道の駅はもちろん、個人商店も見当たらない。
そのため、このコンビニで買わなければいけない食事は、
①四国カルストまでの補給食
②四国カルストでの夕食&朝食
③四国カルスト以降の補給食
となる。
なにせ、四国カルスト以降もコンビニが何十キロも先となるため、翌日分の食糧も確保する必要がある。
なお、道中に自動販売機はそこそこ数あったので、水分不足の心配はそこまでないと思う。
宿泊について
360度のパノラマが堪能できる。
テント1張につき500円だからお財布にも嬉しい。
姫鶴平キャンプ場のすぐ近くにある施設。
ここで一泊できればシャワーも浴びれるし、夕飯も出てくるからコンビニで大量買いする必要もない。
かなり人気らしく、予約すら困難との噂。
2021年7月にリニューアルされたらしく、ホームページを見る限りめちゃくちゃ綺麗。
こちらは姫鶴荘から少し離れたところにある。
お値段もそこそこなので、自転車で四国カルストに行くような人種には向いてない()。
よって、サイクリストはキャンプ泊のつもりでここに来い。
実装編
2019年9月16日(月)8:00 朝食
東横インは朝食が無料なのが嬉しい。
申し訳程度の野菜と大量の炭水化物を体に詰め込む。
9:20 3日目スタート
いざ、3日目スタートである。
ここから70 km先にある四国カルストへ向かう。
雲が厚い。
そして流れが早い。
予報では四国カルストは晴れなのだが、果たしてどうだろうか。
69 km手前で四国カルストへの看板が現れる。
横風がすごい。
まだまだこの辺りは文明を感じるな。
1時間ほど走ったあたりで上り句調になり始めた。
10:50 三坂峠
まだ60km以上残ってるのにすでにしんどい、、、
勾配としてはだいたい6-7%くらいだっただろうか。
風の影響もあってだいぶ厳しい。
国道440号を進んでいるわけだが、何かあるわけでもないこんな道で交通量がすごい。
途中で有料道路に分岐するのだが、それまでは車がガンガンに横を通り抜けていく。
逆に分岐を過ぎてからは車はほぼいなくなった。
それまでは我慢の走りが続く。
下界が見える、、、
だいぶ標高が上がってきているように感じるが、まだまだ序盤。
時折頂上まで〇〇kmの表示が出てくる。
ありがたい一方で、まだこの道が続くのかと思うと気が重い、、、
日差しがきつい。
9月とはいえ、やはり上から陽が差すと体力奪われるね。
見下ろした時の景色が序盤に比べて明らかに高くなってきた。
もう少しで登頂だ。
12:00 三坂峠 登頂
ついに三坂峠を登頂!
標高720 m。松山市内が海抜数mだからほぼ数字通りにに登ったわけだ。
苦労して登った割には展望台も何もないし、景観が良いわけでもないからかなりのガッカリ峠に認定しよう。
車通りのない下り坂を走る。
立ち止まるような景色があるわけでもなく、登りに時間がかかった分をここで回収!
いっけええええええ!!!
登りの途中で分岐していた有料道路との合流地点。
ここからは交通量が増す。
峠を降り終え、すっかり秋を迎えた久万高原町の中心地を走る。
首を垂れるってやつですな。
さて、この辺りが四国カルストに向かう途中の最後の補給スポットとなる。
まずは昼食を食べ、今後の食糧も買い込むとしよう。
12:30 道の駅 天空の郷・さんさん
ちょうどお昼時ということもあり、非常に混雑していた。
私がお昼に注文したのがこちら。
山菜よもぎうどん(¥700)
爽やかな草の香りに加えて天ぷらの香り。
これは一瞬でペロリでした。
売店を見て回ったが、自転車乗りが好む補給食は見当たらず。
ということで少し先にあるファミリーマート久万大谷店にて大量に買い込み!
形が潰れてもいいからおにぎりを大量にバッグの隙間という隙間に詰め込んだ。
13:00 国道33号(四国カルストまであと40km)
道の駅から2,3kmでこの景色である。
いよいよ第二ステージの始まりという感じだ。
山に挟まれた川沿いを進んでいるが、平坦か若干下っているのか?
かなりハイペースでペダルを回せる。
山中にある集落ってなぜか惹かれるものがある。
流石に国道だけあって、道は綺麗だし民家もそこそこにある。
隣に川が流れているのもあって焦る気持ちはほとんどない。
逆に言ってしまうと、なにか面白い要素が今の所ない。
淡々とペダルを回すだけになってる。
なんて思ってたら突然すごい景色出てきたーーー!!!!
なんだこの鋭い岩!?軍艦岩とか呼ばれてるみたい。
2本の川の合流地点にあるからいろんな削られ方をしたんだろう。
いやー流石です四国。適当に走ってこんな景色が観れるとは。これは侮れん。
この辺りからだいぶゴツゴツとした岩が増えてくる。
川の色も深い緑色だし。
自分が走っているすぐ隣がいつどんな瞬間を切り取っても良い視界が広がる!
これこれ!こういのが好きなのよ!
こんな河岸でも稲作するのね。
眺めていて飽きがこないゴロゴロ系の岩。
14:10 国道440号(四国カルストまであと27km)
いよいよ四国カルストへの道案内が出てきた!
ここまでは若干の下り基調だったのもあり、だいぶいいペースで走ってこれた。
果たしてこの先はどんな道なのか…。
柳谷大橋。ループ橋みたいにぐるっと回ってる。
この手の橋があるってことは、つまりはこの先上り口調ってことでOK。
意外なことにもけっこう民家がある。
勝手ながら、こういったところに住む人たちは大変だろうなっていつも思う。
ほんと勝手に。
当然電車なんて通ってないし、車がないと生活できないだろうに。
山の脇を走る。
秘境感はさほど無い。
ここで視界に何かが映り込む。
なんかいる…。
これは宮崎駿が黙ってないぞ!
ホラーだ,,,。
ノボれ!ノボれ!
ここまで非常に快適な路面状況だ。
これがいわゆる快走路というやつ。
そして食糧補給スポットはやはりゼロ。
自動販売機はそこそこ見るので水分補給には困らなかった。
15:15 県道36号 野村柳谷線(四国カルストまであと11km)
快走路もここまで。
ここを右折すると県道36号、通称“野村柳谷線”を走る。
松山から四国カルストまでのルートの中で、唯一の剣道だ。
といっても、36号線をずっと行くわけではなく、すぐに名前すら無い山狭線を走ることとなる。
走り始めは片側1車線の広めの道だが、
はい。狭くなってきました。
脇の草もボーボーになってきました。
そして完全に山の中へ。
車1台分しかない道幅。
すれ違いがかなりシンドいやつ。
だがそれはドライバーにとっての話。
自転車乗りはこういう道の方がテンションが上がる。
山狭線を楽しむ余裕のある路面状態だ。
最初から最後まで舗装されていてかなり安心できる。
ところどころ落石もあるが、気になるほどのものではない。
九十九折が続く。
勾配はそこそこ。自転車を押して歩くほどのものではない。
15時を過ぎた山の中ということもあって、陽射しが直接入る箇所は少なく、全体的に暗い道だ。
道も狭いため、自分の存在をアピールするためにライトを点灯させる。
自分の身の安全を意識し始める時って、うまく言えないがなんだかワクワクする。
もちろん、ガチで身の危険がある場合はそんな流暢なことは言ってられないが。
ちょうど良いスリルは旅のスパイスとなる。
(結局一度も車とはスレ違わなかった)
16:20 地芳峠(四国カルストまであと3km)
山狭道を抜けると、いよいよ四国カルストまで残り3kmとなった。
思っていたよりも遅くなってしまった。
道がだいぶ暗くなっている。
すでに夕刻ということもあって、少し急ぐ。暗闇の中でテント設営だけはしたくない。
この地芳峠とかいう道、けっこうな勾配でペースが上がらない。
道の先に高い木々が見えないことからもゴールが近づいているのが分かる。
あと、もう少し。
視界が開けてきた!
いよいよ。
16:50 四国カルスト到着
地芳峠を登り切ると、眼下には写真で何度も見た景色が広がっていた。
そう、ついに四国カルスト到着。
写真で見るよりもずっと美しい、360°の絶景だ。
遥かなる山々を見下ろす。
何組かすでにテント設営済み。1人じゃない安心感。
陽が沈むまで少し時間があるので辺りを散策します。
牛ー!牛ー!
これがカルスト地形ってやつ。
石灰岩がゴロゴロある。巨人の足ツボマッサージ。
牧場なので細い道が結構ある。
車じゃ通れないし、歩きじゃ遠くて大変。自転車冥利に尽きる。
写真を撮る度に太陽の位置が下に下がる。
いよいよその時が近づいてきた。
視界のオレンジがどんどんと濃くなる。
疲労感も全て忘れて撮影場所を探しまくる。
いよいよその時がきた。
アア…
そして陽が沈んだ。黄昏時だ。
この瞬間、私は女の子となった。
…。
陽が沈んでからは一気に当たりが暗くなった。早くテントを設営せねば!
このキャンプ場、木々に囲まれてないから風がえげつない。
適当な場所に設営しようものなら飛翔する予感しかしない。
なにせ持ってるテントはペグ打ちなんてしない、ただのシェルター。
風を少しでも遮ってくれることを願って水場のすぐ脇に設営した。
この時点で18時過ぎ。
夜のキャンプ場はとにかく暗く、外に出ても何も見えない。
他の利用者は焚き火の準備がしてあって楽しそうにお夕飯を食べてる。
こちらはそんな道具なんてもちろんないし、なんならテント内を照らすライトも持ってないので暗闇のテント内でコンビニおにぎりをmgmg。
そして時刻が19時を回った頃、歯磨きしようと外に出てみると、人生で初めてみる景色が広がっていた。
天の川だ。
写真でしか見たことなかったが、肉眼でも見れるものなのか!
急いでカメラを設定するも、星の取り方なんて調べたこともない。
なんとなくそれっぽいのは撮れたが、なんか違う…。
ほんとはもっと色々と設定を弄りたかったのだが、外が爆風すぎて体温がどんどん下がる。
持っている防寒着を全て着込んでもなお寒い。
四苦八苦していると、お月様が出てきた。
満月とは少し違うが、だいぶ明るくなった気がする。
すると、先ほどまで肉眼で見えていた天の川が見えなくなってしまった。
月の微光ですら星を消してしまうのか…。
天の川、写真には綺麗に残せなかったが、肉眼で見た時の感動はヤバいな(語彙力)
寒さがもう限界だったのでテントに戻る。
この日1日を振り返ると、かなり満足感が得られたライドだった。
こういった体験を積み重ねていきたい。
なによりも晴れていたのがやはり嬉しい。
四国カルストは標高1,400mほど。
ガスって何も見えなかったという声もよく聞く。
雨の「あ」の字もかすらなかったな、、、
と思っていたが、テント内が結露で濡れ始め、強風によってそれが顔に飛んでくる。
おい!!!朝なら分かるがなんで夜に!!!
時刻21時になる前にはスマホすら触ることにも飽きてしまい、就寝。
翌日はなかなかの走行距離になる。
四国ツーリング始まって3日目にして初のキャンプ泊。
ちゃんと体力を回復させねば。
つづく。
↓サイコンが壊れて使用できなかったため、後日手入力したルートです。