知らない天井だ。
ん?天井がある…????
脳がだんだんと視界に追いついてくる。
 そうだ、白川郷でテント泊してたんだ。
時刻は午前3時半。寒い。季節は…秋?
 あれ夏だよねいま?寒いわけないだろ`,、’`,、’`,、’`,、’`,、(ノ∀︎`)’`,、’`,、’`,、’` ,、’`,、
笑ってる場合じゃない。寒すぎわろた。
 いや笑ってる場合じゃない。
まだまだ周りは暗いしお月様がニッコリと顔を覗かせている。
 なんでこんなにも早いスタートなのかと言えば、この日は白川郷から乗鞍岳を越えて松本まで走るからだ。
“乗鞍岳”
もう響きだけでお腹いっぱい。
 写真でしか見たことがないが、かなりの絶景である。
 なにせ舗装道路最高到達点だ。
頂上付近は森林限界を迎えて高山植物しかない。
 ツーリングの聖地と言っても過言ではないだろう。
そのためにまずは日高市方面に向かう。
 その途中、まず最初に出迎えてくれるのがこの天生峠だ。
そしてついに峠越え。
 標高1,300mもあったのか…。どうりで長いわけだ。
しかし登った分だけ下りがあるのが山の面白いところ。
 ここから一気に日高まで下る!
斜度は10%はあるであろうヘアピンカーブの連続をスルスルと下る。
 こっちから登るのもまた面白いかもしれないな。
 そして下り終えたところで住宅地が見え、そこには嬉しいサービスが(´^ω^`)
うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおトマトだぁぁぁぁあああああああ
トマトがキンッキンに冷えてやがるよぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!
完全に実写版ぼくの夏休みと化してしまった。
 見渡す限りの山、山、山。
 川の水が太陽の光をキラキラと反射させて眩しいくらいだ。
しばらく進むとようやく町らしくなる。
 そこで金沢ぶりに見かけたファミリーマートに立ち寄り食料・飲料を買い込む。
 天生峠を越えたお腹はすでにハングリー_( _´ω`)_
 とにかくカロリーカロリーカロリーーー!!!!
大  量  購  入  (´^ω^`)
 バナナも売ってるし栄養ドリンクもサラダもなんでも買えるし、ツーリング中に不足しがちな栄養バランスを考えるとコンビニ様様なんだよなぁ。
食事を終える頃にはもうすっかり太陽が本気でギラギラし始めた。
 暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い!!!!!!!
 何本飲んでも物足りないくらいに汗が出る_(:3」∠︎)_
ついにきたか“乗鞍岳”。
すると割と序盤の方で最終コンビニが出現。MAJIKAYO_( _´ω`)_
 つまりここでの補給が最後になるわけだ。
 お腹は空いていないが、無理矢理腹に詰め込んで余計に購入。
 空腹は問題なさそうだが、水分が不安すぎる…。
 なにせこの暑さだ。
 さっきから滝が汗になってるレベルで全身から吹き出ている。
 バッグの容量いっぱいにアクエリアスを購入。
 とりあえずこれで乗り切るしかないな…。
しかし暑すぎる…。
 もうすでに半分飲みきってしまったが、まだまだ序盤だ。
 幸いにも自販機があったのでなんとか生きていけたが、これはとんでもねーぞ。
そしていよいよ乗鞍岳への道が開けた。
ここからググッと斜度が上がる。斜度表示はを見ると10%近い登りがずっと続く。
これは帰れと言っているのだろうか?
 こちらはテントまで詰め込んだ重い車体。カーブ1つ曲がる度に脚がつくようだ。
山頂までまだ20km近くある。
 完全にリサーチが足りなかった…
 食料も飲料も残りわずか、そしてこのキツい登り坂。
 体力に不安しかねーぞ`,、’`,、’`,、’`,、’`,、(ノ∀︎`)’`,、’`,、’`,、’` ,、’`,、
なんとかして乗鞍スカイラインのスタート地点に到着。
え、やっとスタート地点、、ここからが本当の乗鞍ってことですか?
たたたた体力が、、(;^ω^)
ゲートもあったり管理人がいたりとなかなかしっかりしている。
 この先はもちろん電灯なんてないし電波もほぼない。
 だから陽が沈む前にしっかりと下山できるような時間を逆算してゲートを管理しているそうだ。
 その時間はたしか15:30。
 ここを15:30には出発しなければこの先には進めない。
 そして仮に間に合ってもこの先にも再びゲートがある。こちらはたしか17時だっただろうか?
 ゲート2つもあるとかどこの本格レースだよ:;(∩︎´﹏`∩︎);:
管理人「スピードを出しすぎないことと、熊に注意してくださいね〜」
 熊だなんて`,、’`,、’`,、’`,、’`,、(ノ∀︎`)’`,、’`,、’`,、’` ,、’`,、
 まさかこの後本当に遭遇するとは夢にも思わなかったのであった…。
さて、乗鞍スカイラインである。
急勾配なヘアピンカーブが連続するが、天生峠とは全く異なる。
 まず、常に空が見える。下界が見える。
 ゲート付近ですでに標高1,000mはあっただろうか。
 周りを見渡せば絶景しかない。
すごい、すごすぎる…!!!
 カーブを一つ越える度に絶景が待ってる。
 だから楽しくて仕方がない。
 登ることがこんなにも楽しいだなんて。初体験。
標高2000mを越えたあたりから景色と空気ががらりと変わった。
 高い木がない。周りの木々は背が低く、普段あまり目にしない花や草が生えている。
そう、ここは森林限界だ。
 木々が邪魔をしないから風を直接感じることができるし、その冷たさを肌や肺で確かに感じた。
 これが乗鞍岳…!!!
 気づかないうちに笑顔で走っていた。
 やれやれ狂ってやがる。
 だがしかし本能には逆らえない。
ここはなんて素晴らしい場所なんだろう!
 しかし標高が高くなるにつれ、霧がどんどん深くなっていった:;(∩︎´﹏`∩︎);:
 くそぅ、頂上から見る景色が最高だというのに。
うっ…何も…何も見えねーぞ!!!
長野着弾!!!!
 乗鞍スカイラインの入り口から約2時間半かけてようやく着いた!
 ここは標高2,716mの舗装道路最高到達点だ。
 こんなところまで走れるんだもの、自転車ってすごい。
登山口。
 ハイヒールでも登れる3000m級の山として有名だ。
 晴れていたら登ってみよう。とりあえず今は寒い、寒すぎる:;(∩︎´﹏`∩︎);:
 じっとしていると背中がゾクゾクする。
用意していたウィンドブレーカーを羽織ってみたが所詮は気持ち程度の風除けだ。
 そしてここのダウンヒルはとんでもなかった。
 とにかく寒い寒い寒すぎる:;(∩︎´﹏`∩︎);:
 ブレーキを握る手が寒さで震える。
すると突然、視線の先に黒い大きな影が現れた。
 大きい。すごく大きな影だ。
 まさかのアイツ。登山客にも一気に緊張が走る。
「熊さんだ!!!」
進路を180°変え、ギアを一段あげて下ってきた道を一気に駆け上る。
 おそらくトップスピードが出たであろう速さで登った。
 熊も違う方向へ逃げて行き、万事休す。
再びダウンヒル再開だ。
 いや〜まさか熊さんに出会うとは。これが乗鞍。
 恐ろしいぜよ。
重い腰を上げて再び風を切るダウンヒルへ。
これまでいろんな土地を走ってきたが、ここだけはわりと本気で死にかけた。
このあたりは、ダムの上を走ったり道の駅があったりと、足を止めてゆっくりとしたくなるポイントが多い。
そして雨雲と並走して松本に向かってたからいつまで経っても雨が止まない`,、’`,、’`,、’`,、’`,、(ノ∀︎`)’`,、’`,、’`,、’` ,、’`,、
路肩は自転車が走るスペースなんてないし片側1車線なんだもの。しかも交通量は多いし。
そして雨もようやく上がってきた!
もう無理、疲れた。ほんと、疲れた。
最終的には地元民オススメの“たけしや”の焼きそば定食。
 炭水化物に炭水化物がついてやがる`,、’`,、’`,、’`,、’`,、(ノ∀︎`)’`,、’`,、’`,、’` ,、’`,、
ソースが甘いこと甘いこと。これはこれで面白いな。
疲れきっててもはやお湯に溶けそう…。
コインランドリーで洗濯しながらGoogleマップと格闘し、最終的には松本駅から少し離れた所の公園に決定。
2日目(白川郷〜松本)
走行距離:175.31km
 走行時間:10時間55分
 最高速度:54.3km/h
 平均速度:16.0km/h
 獲得標高:3,358m