明方の北海道は相変わらず冷える。
最初の猿払村は尋常じゃないほど寒かったが、服装に関しては我ながらドンピシャなものを選択したと思う。
車中泊の人達も続々と車から出てきて朝を迎え始めた。
一足先に道の駅を出る。6時頃だろうか?
目指すは新千歳空港!
近くの道の駅で一泊して、次の日の朝便で東京羽田まで帰る予定だ。
この日の難所はやはり日高山脈横断だろう。
地図を見ていただければ分かると思うが、新千歳まではこの日高山脈を登って下れば到着するようなもので、要はがっつり峠道を走り続ける一日になるということだ’`,、(‘∀`) ‘`,、
とにかく、前へ。
農家の朝は早い。
帯広らしい畑道を進む。
遠くにあった山々がだんだん近づいてくるのが分かる。自転車の不思議なところって、気合い入れて漕いでるわけじゃなく、ただ気ままにペダルを踏んでいるだけで思いのほか遠くまで進んでいる所だと思う。
“100km”と数字で見ると遠そうに思えるが、走ってみると意外とあっという間だったりする。
ついに札幌の文字が!
目の前にあるのがおそらく日高山脈だろう。
超えてやる…超えてやるぜぇ!!!
国道274号線、帯広と札幌を結ぶ唯一の道路 “日勝峠”だ!
は?
え、ちょ…は?
札幌方面行けないってどういう事?
OK Google、国道274号線交通状況→→→・・・
おいおい
日勝峠通行止めって
ガチなやつじゃん。平成28年の台風って…1年前!?1年前の台風の復興工事がまだ終わってなかったのか!?
Google MAPを眺めていてもらちが明かないので素直に近くの交番まで行き、日勝峠を使わない自転車で行ける迂回路を一緒に考えることに。
そして、1番近い迂回路というのが、国道38号線で南富良野まで行き、そこから国道237号線で占冠村まで行けば日勝峠の通行止め区間を迂回できるとのこと。
赤色のルートが本来通りたかった日勝峠で、青線が自転車で走行可能な迂回ルートだ。
めちゃくちゃ遠回りやん…さすがに笑えん’`,、(‘∀`) ‘`,、
迂回路、行ってやんよ( ꒪ д꒪ ⊂︎彡☆︎))Д´)
所詮は数十キロ、ちょっと到着が遅くなるくらいだろう。
そう思っていた矢先から登り坂が続いていて笑えない。
どうやら…まず南富良野に行くのに峠を越えなければならないらしい…。
いかん…峠を越えて南富良野に行って、さらに峠を越えて占冠まで行き、そこからさらに峠をry
その峠の名は“狩勝峠”だ。
そこまで勾配はキツくないが、やたら長く感じていた。
想定していない道を走るといつもそうだ。どこに向かっているんだろう?という心理的な背景も効いているのか、短い距離でも長く感じる。
そしてようやく頂上が見えてきた。
いぇええええええええええええええい!!!!
後ろを振り返ると、まさかの絶景が広がっていた。
うっわ…大パノラマだ。
まさかこんな絶景に出会うとは思いもしなかった。
なんでも、ここは日本新八景に当たるらしい。
これだから自転車旅はやめられない。
その後は警戒に下り坂を進む。
1年前の台風の爪痕がそのままだ。
実は道東あたりから木々が倒れているのが気になっていた。
特に道央に入ってからは大きな木が根こそぎ倒れていたから何があったんだろうと思っていたが、まさか1年前の台風だとは…。
その年はジャガイモの収穫が少なく、全国のお菓子コーナーからポテトチップスが消えてしまうほどだった。
そしてようやく南富良野にたどり着いた。
まずは飯だ!!!
食料はとっくに底をついている’`,、(‘∀`) ‘`,、
道の駅「南ふらの」に立ち寄る・*・:≡︎( ε:)
駐車場には水たまりが出来ていた。
峠を走りながら怪しい雲が見えていたが、ここに降っていたらしい。
偶然にも自転車イベントと重なったらしく、沢山のローダーが集まっていた…!
北海道に入ってから初めてこんなにローダーが…!わたくし感動。゚(゚^Д^゚)゚。
多くは地元の人らしく、車で来てから自転車を組み立てて辺りを走っているらしい。
あやうくブルベに混ざるところだったが、自分を奮い立たせて
勝利の卵とじカツ丼。
かなやま湖畔を行く。
気持ちのいい木漏れ日だ。
北海道とはいえ、季節は夏。日差しもそれなりに強いし、日焼け止めクリームも塗りたくらなきゃならない。
うはーーーー。
湖が見える度に立ち止まり、その雄大さに浸ってしまう。
次第に電波の通らないザ・自然の中を行くこととなる。
それにしても日差しが強い。体力が奪われる。
そうして進むうちに、待望の看板が見えて来た。
占冠だ!!!
“シムカップ”と読む。初見じゃ絶対読めないからね、これ。
シムはまだ分かる、でもカップは無理だろ。
これまで登り口調だったこともあり、軽快に足が回ってくれたおかげで早い段階で電波が届く所まで進むことができた(´^ω^`)
電波は通るが人は通らんな’`,、(‘∀`) ‘`,、
相変わらず鹿は定期的に遭遇するのに←
そしてようやく活気のある中心部まで進むことができた。
おぉ!ついに札幌の文字が!!!
日勝峠、迂回完了!!!
思いのほか中心部が活気にあふれていて驚いた。
それもそう、ここは年間を通じてリゾートライフが満喫できる“星野リゾート”が近い。
これまで通ってきた道からは想像できないほど綺麗な道の駅“自然体感しむかっぷ”で休憩を取ることに。
メロンソフトクリーム’`,、(‘∀`) ‘`,、
夕張メロンではないし、なんなら国産とも謳っていない謎のメロンソフト。
さて、この時点ですでに16時をとうに過ぎている。ここから千歳までの道のりは…
あと100km…だと…???時刻は16:40だ。これはまずい。
ここで一泊したい気持ちがめちゃくちゃあったが、それだと飛行機に間に合わない。
いくしか!
すでに太陽は沈みかけ、山道は夜を迎え入れている。
航空写真で見る限り、ここから先はひたすら山道が続く。
台風の爪痕がそのままに。
スモッグが…!!!なにこの最終ダンジョン感!!!
そして再び電波が届かないゾーンに。あれ?さすがにここで圏外はまずいんじゃ…?ルートどうしよ…距離感も分からないし…
日が沈む…
誰そ彼時だ。
そして、完全に日が沈んだ。
電波なし、街灯なし。こんな時間に、しかもこんな場所に人が来るわけない。
自転車のライトを頼りにたんたんと登り続ける。
足元が綺麗であれば進行方向を照らしたかったのだが、思いのほか路面が悪い。
せっかくの下り坂でも、路面が悪くてスピードが出せず、時間とストレスばかりかかってしまう。
これまで色々なところを走ってきたが、さすがに今この瞬間はこれまでになく怖かった。
なにせ北海道の、しかも電波も明かりもない山の中だ。動物との遭遇率も高い。
人の気配もない空間にあるのは、自分の息遣いと車輪が回る音だけだ。
そんな静かな空間の中ですぐ隣の茂みが急にガサガサと音を立てたりするから心底怖い。
‟北海道の樹海”、この言葉が一番あっているだろう。
そんな恐怖の中、ふと空を見上げると
満点の星空が広がっていた。
ビューティフォー…初めて生で天の川を見た。そしてこんなにも星がたくさんある空を初めて見た…。
思わず足を止めて見とれてしまった。動物の気配がすぐ近くでしたからようやく動けたが、本当にきれいな空だった。
それからというもの、なんだかんだでこの暗闇の恐怖感も楽しめるようになった。
目の前にシカがいてもなんとも思わなくなったし。()
でもふとした瞬間にまた怖くなって、それがまた楽しい。
そして21時ごろにようやく夕張市に突入し、電波も回復した。
少し離れたところで偶然にも地域のお祭りがあり、そこの屋台で焼きそばを購入!
いやぁ助かった。子供たちののど自慢大会を眺めながら空腹を満たす。
夕張市を後にし、再び圏外電気なしの山道に戻る。
できれば明るいうちにこの町を見たかった…。ここから先はほぼ下りだから
そして、
樹海脱出!!!
電波が戻ってきた!ここまで来ればあとは作業みたいなもの!
樹海は抜けてもあたりは暗いままだね。とほほ。
久しぶりの牧場の香りがなんだかうれしいぞ。
時刻も日付が変わるごろになり、ようやく千歳駅近くまで来た。すると突然雨が降ってきてしまったので近くにあったローソンで雨宿りするため道を反れる。
すると、やたら広い駐車場のローソンで、これは一体…?と思っていたら。
まさかの道の駅でした!
サーモンパーク千歳、ついに到着!時刻はなんと丁度深夜0時。
いやぁ疲れた疲れた。
なかなか強い雨だ。
夜の雨ってセクシー。
かなり大きい道の駅で、駐車場にはたくさんの車中泊組が集まっており、雨宿りできるスペースには親子や友人グループなどが話し込んでいた。
さすがにこれだけ立派な施設に、しかも周りの目線が集まる場所にテントを設営するのはキツイ…と思いつつも、この雨の中で宿泊先を探しに行くのも怠い。
どうせもう二度と会わない人たちの目線なんて気にする必要はない、ということで一番目立つ玄関口にテントをドーン!と構えてしまった。
寝袋にくるまりながら、この日1日のことを振り返る。
台風の影響で道が遮断され、どえらい迂回路をすすみ、夜は北海道の樹海をひたすら進むって…
これが試される大地か…。完全に試されてしまったな。
7日目(帯広市-千歳市)
走行距離227.72km
総距離1022.89km